徳島のIoT導入事例 [ 業務自動化 ]

建機の「居場所をつかむ」IoT

事業者名

株式会社大竹組
〒775-0006
徳島県海部郡牟岐町大字中村字本村85-1
http://www.otake.co.jp/
TEL 0884-72-1188
FAX 0884-72-1187


導入目的

・業務の効率化
・「手管理の不備」からの脱却

取り組んできた「i-Construction」

徳島経済研究所が事務局を務める「徳島IoT活用研究会」に2017年10月に加入した株式会社大竹組。徳島県南の牟岐町に本拠を置く公共工事が主体の土木建設業(従業員数35名)ですが、国土交通省が進める「i-Construction」の流れをつかみ、業務の高度化を次々と進めてきました。

(注:i-Constructionとは、ICTの全面的な活用などの施策を建設現場に導入することによって、建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み。行政・研究機関・建設関連企業・IT関連企業などから成る推進コンソーシアムでは(2018年10月現在で960の企業・団体で構成)、「技術開発・導入WG」、「3次元データ流通・利活用WG」、「海外標準WG」の3つのワーキンググループが進められている。)

従来は2人で行っていた測量業務について、1人での作業が可能になる機器を導入し作業効率を改善させました。また、施工計画などは3次元データでの可視化を進め、これに対応する建設機器も導入して作業を大幅に効率化させています。さらには、ドローンの利用も進めています。「ICT武装した土木建設業」として注目されており、視察も相次いでいます。

こうした取り組みは従業員の「働き方改革」にも大きくつながり、時間外労働の削減や若年層の雇用増加などが進みました。2018年11月からは、土曜・日曜を休業日とする「完全週休2日制」をスタートさせています。

過疎が進む地方の企業でもICTへの取り組み方1つでここまで変わることができる、ということが示されており、まさに地方創生を具現化したお手本と言えるのではないでしょうか。

「自力で構築」したIoT

同社のICT武装を進める中心者の常務取締役山西公彦氏は、「徳島IoT活用研究会」に参加する中で、講師が「IoTで重要なのは、小さなところからとにかく自分でやってみること」と述べていることが気に掛かっていました。i-Constructionを進めているとは言っても、機器メーカーなどが開発した製品を導入し使用しているに過ぎず、自分でIoTを考え出し実際に使ってみたい、との思いを持ち続けていたのです。

そこで、業務の中で課題になっていることを考え探していたところ、「建設機械の現在位置を探し出すのに時間がかかる」のがよくあることを見つけました。担当者がホワイトボードを用いて手書きで管理していたのですが、記入や変更を忘れてしまうことが少なからずありました。ある建機を別の現場に移動させる必要が生じたときにその建機があるはずの現場の担当者に連絡をしますが、「その建機はここにはない」との返事があってようやく記入ミスがあったことが判明するのです。また、当該建機の真の現在位置を見つけ出すのにかなりの手間と時間がかかった経験もあり、この課題をどのように解決すればよいのかと思案した結果、「市販のGPSトラッカーを建機に装着すれば、どこにあるのかがすぐにわかるのはないか」と考えつきました。

まず、WEBで約5,000円のGPSトラッカー1台を購入。しかし、このトラッカーが推奨する通信会社の方式だと複数契約を行うことが面倒なことが判明。そこで、自ら別の通信会社・方式などを探したところ、ソラコム社の「SORACOM AIR for セルラー」が使いやすいとわかり、WEBでSIMカードの購入(1枚3,000円で2,099円の無料クーポン付)、契約を行いました。

送付されたSIMカードをGPSトラッカーに入れ、GPSトラッカーを建機のヒューズボックスの横に装着し、ヒューズボックスにつなげて、機器側のセットは完了。次に、PCやタブレット側で通信や可視化するためのアプリをセットして、「建機の居場所をつかむプチIoT」の構築ができました。分かる情報は、GPSトラッカーが装着された建機の現在位置、現在位置までに到達するまでの経路、建機のエンジンの作動状況(作動していない場合、エンジンが切られた時刻)の3つです。通信は、10秒毎に行われます。

最初の1台への設置が成功したので、追加で16セット調達し、現在は17台の建機で運用しています。気になる通信費用ですが、基本料金が1契約当たり15円/日であり、同社の利用規模で、月額は15円/日×30日×17台=7,650円です。また、データ通信料金は、この規模の利用では非常に少額となり、17台全体で月額100円に満たない程度です。さらに、SIMカード購入に付いている無料クーポンにより、契約当初の数ヵ月はこの基本料金、データ通信料が無料となります。(注:金額は消費税別、1ヵ月は30日で計算)

導入して日が浅いことから、このIoTの弱点について必ずしも明らかになった訳ではありませんが、今後運用を積み重ねていく中で改善を繰り返していきたい意向です。

 

同社は上記以外でも業務管理のためのグループウェアを2012年から導入するなど、ITへの取組はかなり進んでいると思われます。また、IoTへの新たな取組も模索しているとのこと。今後も注目していきたいと思います。(2018.12.19記)

使用するGPSトラッカー・タブレット端末による表示

使用しているGPSトラッカー
タブレット端末による可視化
建機ヒューズボックスの横に取り付け